ワークショップ

Tokyo Workshop on Spatial Economics (議事概要)

イベント概要

開催報告

RIETIにおいて、プロジェクト「都市の成長と空間構造に関する理論と実証」(リーダー:田渕隆俊ファカルティフェロー)のワークショップ "Tokyo Workshop on Spatial Economics" が2013年3月27日に開催された。都市・地域経済において、空間という次元がいかに重要であるかについて焦点を当て、多角的な討論を行った。その結果、空間経済学における政策的含意がいくつか得られた。ワークショップで報告された論文の概要と主な研究成果は、以下のとおりである。

Pascal Mossay (University of Reading) は、社会的相互作用の空間モデルにおける均衡の存在と一意性に関する研究報告をした。社会的相互作用は、非市場要因として無視しえない個人同士の作用である。その存在が、都市センターの分布をどのように形成するかについて、二次元空間のモデルを構築し、性質を調べた。

Pierre Picard (University of Luxembourg) は、空間的分離と都市構造に関する研究報告を行った。言語、人種、民族などを異にする2つの集団が都市内に立地し、社会的相互作用を及ぼしあう状況をモデル化した。均衡において集団がどのように分離して立地するかを分析し、複数均衡の存在など興味深い結果を得た。

森知也 (RIETIファカルティフェロー/京都大学) は、産業立地と都市規模の分布と都市間距離に関する研究報告をした。実証分析を行い、所得の分布に比べて、都市や産業の分布はあまり偏りがないことを示した。さらに、財や旅客の移動データを用いて経済地域の階層性を求め分析し、階層が異なっていても都市規模分布は非常に類似していることを示した。

佐藤泰裕 (大阪大学) は、多地域間のサーチモデルを構築し、労働市場の統合が与える影響に関する研究報告を行った。生産性ショックが人口移動を通じて他の地域にどのように伝わるかを計量的に求めた。市場均衡が効率的でないことや、労働市場の統合が全国の失業率を低下させるだけでなく失業率の地域格差も減じることを示した。

Esteban Rossi-Hansberg (Princeton University) は、地球温暖化による空間経済的影響に関する研究報告をした。新しい技術の空間伝播を考慮しつつ、気候変動が経済活動、貿易、人口移動、成長および厚生の地球規模の分布に与える影響を分析し、シミュレーションを行った。その結果、気候変動に起因する多大な損失が、社会資本、民間資本、技術やヒトの貿易や移動における摩擦に関係することが明らかになった。