| 執筆者 | 川本 真哉(立教大学) |
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| 発行日/NO. | 2026年6月 26-J-028 |
| 研究プロジェクト | 企業統治分析のフロンティア |
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概要
本稿では、キャッシュアウトによる非公開化の動機について検証を行った。分析の結果、以下の点が明らかにされた。第1に、2014年の会社法の改正により株式等売渡請求制度が導入されたことは、機動的なキャッシュアウトを可能にし、上場廃止までの期間の短縮化を実現した。また、どのようなスキームを採用するかは買収主体の特性に依存しており、株式の事前保有比率(Toehold)が高い親会社による完全子会社化案件では株式等売渡請求制度が、その他MBO案件では株式併合の手法がキャッシュアウトに用いられていることも明らかにされた。第2に、キャッシュアウト実施企業の動機を探ったところ、TOB公表前の株価パフォーマンスが低いほどキャッシュアウトによって非公開化を実施するということがわかった。また、経営陣の持株比率が低いほど、非公開化を行う確率が高まることが確認された。あわせて、外国人投資家の持分が高いほど、非公開化を実施する傾向にあることも示された。第3に、キャッシュアウトが株主の富に与える影響について買収プレミアムを取り上げて検証を行った。それによると、スモールキャップで投資家との間に情報の非対称性がある企業、そして、キャッシュリッチな企業ほどプレミアムを支払い市場から退出していることがわかった。また、TOB後の議決権を多く獲得した株式等売渡請求が採用できたスキームで、相対的に高いプレミアムが観察された。