執筆者 | 森川 正之(特別上席研究員(特任)) |
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発行日/NO. | 2024年4月 24-J-013 |
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概要
本稿は、新型コロナ下におけるマクロ経済及び賃金の先行き予測とその不確実性の動向、個人特性と不確実性の関係を、2020~2023年にかけて個人を対象に実施した独自のサーベイ・データを用いて分析するものである。点予測値の主観的信頼区間という形で個人レベルの不確実性を捕捉した点が特長である。その結果によれば、第一に、新型コロナ感染症の初期、経済の先行き見通しが大幅に悪化すると同時に、個人レベルの主観的不確実性が増大したことが確認される。第二に、マクロ経済の不確実性は次第に低下してきたが、賃金の不確実性は2021年にいったん低下した後、2023年に再び高まった。第三にマクロ経済及びミクロレベルの賃金の不確実性は、いずれも観測可能な個人特性と関係しており、男性、50歳以上、高学歴者は主観的不確実性が高い。