執筆者 | 戸堂 康之(ファカルティフェロー) |
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発行日/NO. | 2022年8月 22-P-019 |
研究プロジェクト | 経済・社会ネットワークとグローバル化の関係に関する研究 |
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概要
この論文は、サプライチェーンに関する政策や経営的方向性を提言するものである。そのためまず第一に、主としてこれまでのRIETIプロジェクトの研究成果に基づいて、どのようなサプライチェーンが強靭で創造的であるかを議論する。特に、取引先の国際的な多様性が強靭性と創造性に及ぼす効果について焦点を当てる。第二に、近年グローバル・サプライチェーンに影響を及ぼしている政策とそれに伴う主要国のサプライチェーンの動向を概観する。特に、アジア地域の多くの国において部品の輸入相手国として中国に対する依存度が高まっていることが観察されている。日本では、近年中国への依存度はやや低下しているものの、アメリカや欧州各国にくらべて絶対的な水準は高い。最後に、1点目の学術的エビデンスと2点目の現状把握に基づいて政策的・経営的提言を行う。特に、日本は強靭性のためにサプライチェーンにおける中国依存をさらに低下させ、より国際的に多様化すべきこと、創造性の促進のために安全保障上の懸念がない友好国との知的連携を拡大することが提言の柱である。
※本稿の英語版ポリシー・ディスカッション・ペーパー:22-P-024