R-JIPデータベース2021の推計方法と分析結果

執筆者 徳井 丞次(ファカルティフェロー)/牧野 達治(一橋大学経済研究所)
発行日/NO. 2022年3月  22-J-007
研究プロジェクト 地域別・産業別データベースの拡充と分析-地域間の分業と生産性
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概要

4回目の改定となるR-JIPデータベース2021は、推計期間の延長だけでなく、推計方法の大幅な改定を行った。その理由は、産出(付加価値)推計の基本情報として利用してきた「県民経済計算」が、平成23年基準に改定されて2008SNA対応となったことから、「R&Dの資本化」に対応して付加価値概念、資本概念の変更が行われたからである。R-JIPデータベース2021では、推計期間を1995年以降とし、「県民経済計算」付加価値の遡及データがない1994年から2005年の期間は、「県民経済計算推計方法ガイドライン」に沿って「国勢調査」の情報などを利用して独自に付加価値の遡及推計を行った。また、資本投入の推計作業においても、同様に「ガイドライン」を参考にしつつ推計作業を行った。R-JIPデータベース2021に加わった新たな特徴として、企業内R&Dや自社開発ソフトウェアといった無形資産の情報が加わったこと、そして広義サービス業分野の分類がより詳しくなったことである。本論文では、R-JIPデータベース2021の推計方法を解説するとともに、こうした新しい情報を加えた地域間生産性格差の分析結果を報告する。