| 執筆者 | 乾 友彦 (学習院大学)／金 榮愨 (専修大学) |
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| 発行日/NO. | 2020年10月 20-E-083 |
| 研究プロジェクト | 東アジア産業生産性 |
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概要
近年の円安は日本企業の輸出額を大きく増加させることを期待されていたが、実現された輸出額の増加は限定的であった。本論文は、為替レートの変化が日本企業の輸出行動に与える影響を、経済産業省企業活動基本調査の調査票情報を用いて分析した。推計結果から、円安が日本の輸出企業の輸出額を増加させる役割を果たしているものの、非輸出企業の輸出市場への参入に与える影響は限定的であることが判明した。また、輸出額の為替レートに対する弾力性は企業の輸入集約度に大きく影響を受けることがわかった。輸出額の為替レートに対する弾力性は1997年時点においては0.81と推計されるが、輸出企業の輸入集約度が増加したことにより2015年時点における弾力性は0.64まで低下している。この結果は、グローバル化した企業が、為替レート上昇による輸出額への負の影響をコストの低下した輸入を活用することを通じて緩和していることを示唆する。
概要（英語）
Using the most comprehensive Japanese firm-level dataset, we investigate the effect of exchange rate fluctuations on Japanese firms' performance in the international market. We examine firm characteristics based on firm export dynamics. The estimation results overall indicate the depreciation of the yen may play an important role in the expansion of export, but a limited role in terms of entry to the export market. The results also show that export elasticity is significantly affected by import intensity, and decreases from 0.81 in 1997 to 0.64 in 2015 because of the increased import intensity, indicating that fully globalized firms utilize imports to alleviate negative shocks from exchange rates on exports and to improve price competitiveness.
