執筆者 | 早川 和伸 (アジア経済研究所)/松浦 寿幸 (慶應義塾大学) |
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発行日/NO. | 2020年9月 20-J-036 |
研究プロジェクト | 人口減少下における地域経済の安定的発展の研究 |
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概要
急速な少子高齢化に直面し、今後国内市場規模の縮小が避けられない我が国では、今後の収益機会の確保のためには新興国の需要の取り込みが焦眉の課題であるとされている。本稿は、我が国の製造事業所レベルの輸出に関するパネル・データ(2001, 2007, 2014) を用いて、地域の比較優位が事業所の輸出開始(輸出の外延、Extensive margin)や輸出額(輸出の内延、Intensive margin)に与える影響を分析し、特に九州地域の企業の輸出拡大の可能性について議論するものである。また、国際貿易データを用いて計算した製品関連性指標と地場産業の比較優位指標を組み合わせた技術的関連産業の集積指標(Local Product Relatedness Index, LPR)を作成し、これを地域の比較優位指標として用いている点も特徴の一つである。実証分析の結果、輸出額にはあまり影響がみられないものの、輸出開始の意思決定には技術的関連産業の集積が有意な影響を及ぼしていることが分かった。