| 執筆者 | 大西 宏一郎 (早稲田大学)／山内 勇 (明治学院大学) |
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| 発行日/NO. | 2018年6月 18-E-036 |
| 研究プロジェクト | 技術知識の流動性とイノベーション・パフォーマンス |
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概要
コンピュータソフトウェアは特許権と著作権の両方によって保護されている非常にユニークな技術分野であるが、これら2つの知的財産権の混在した状況が企業活動にどのような影響を与えているのかは現在まであまり分析されていない。本研究では、ソフトウェア特許や著作権がシグナリング効果の意味でベンチャーキャピタルから出資につながるのかを、日本のソフトウェア企業データを用いて統計的に分析した。分析結果では、ソフトウェア特許出願や著作権登録の両方ともに、ベンチャーキャピタルからの出資を加速化させることが明らかとなった。ただし、両方の権利を取得することは追加的な出資につながらないことを示す結果を得た。また、2000年以降、特に著作権登録のベンチャーキャピタル出資への効果が弱くなる傾向が見られた。以上の結果から、ソフトウェアでは特許と著作権の2つの知的財産権が並立しているが、ベンチャーキャピタルへのシグナリング効果という意味においては代替的な関係にあり、両権利が併存する経済効果は小さいという結果を得た。
概要（英語）
Although computer software has been protected by both patent rights and copyrights, the mixed effects of these two intellectual property rights have not been relatively explored. In this study, we examine the signaling value of patenting and copyright protection in software technology on receiving venture capital (VC) financing using notable Japanese software SMEs data. We find that both obtaining software patents and copyright registrations accelerate the VC financing for smaller firms. We also find that possessing both intellectual property rights have a significantly negative impact on the finance of VC. The results show that software patents and copyright registrations are largely substitutes in terms of signaling.
