日本語タイトル:企業の成長阻害要因としての中小企業政策

SME Policies as a Barrier to Growth of SMEs

執筆者 鶴田 大輔 (日本大学)
発行日/NO. 2017年3月  17-E-046
研究プロジェクト 企業金融・企業行動ダイナミクス研究会
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概要

本論文は、法定中小企業の要件の維持が、中小企業の成長にどのような影響を与えるのか、法人企業統計の企業レベルのデータ使って分析した。分析の結果は下記の通りである。第1に、法人税法、もしくは1999年までの製造業などにおける旧中小企業基本法の要件である、資本金1億円に近い企業は資本金を増加させない傾向がある。これは法定中小企業の要件を満たすために、企業が資本金のレベルを維持することを示唆する。第2に、1999年の中小企業基本法の資本金要件の改定を利用して、差分の差分法(Difference-in-differences)により計量分析した結果、資本金要件が緩和されたことにより企業は資本金をより多く増加させることが示された。これは、中小企業基本法の資本金要件が資本金増加に対する制約になっていたことを示唆する。第3に、資本金増加は総資産増加率で測った企業成長に対してプラスの影響を与えることから、資本金要件による資本金増加に対する制約は、中小企業の成長に対して負の効果を与えることが示された。また、負債比率が高い企業や業績が不安定な産業において、資本金増加は負債削減効果があることから、資本金要件緩和により負債比率の調整が促進した。

概要(英語)

We investigate whether firms have incentives to retain their positions as small and medium enterprises (SMEs) to benefit from various SME policies. Using small business data from Japan, we show that firms are less likely to increase their registered capital so that they can continue to satisfy the requirement that retains their position as SMEs under the SME Basic Act. In addition, we find that, after the relaxation of this SME requirement under the act, firms were more likely to increase their registered capital. When firms do not increase their registered capital in order to keep their SME status, firm growth is impeded.