日本の製造業におけるビッグデータ活用とイノベーションに関する実態

執筆者 元橋 一之 (ファカルティフェロー)
発行日/NO. 2016年10月  16-P-012
研究プロジェクト 日本型オープンイノベーションに関する実証研究
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概要

本稿は、経済産業研究所が2015年11月に行った「モノづくりにおけるビッグデータ活用とイノベーションに関する実態調査」の結果の概要について取りまとめたものである。当該調査は、1.データ活用に関する組織、2.企業内データの収集・利用状況、3.企業外のデータ活用の大きく3つの項目について、日本の製造業企業4209社に対してアンケート調査を行い、592社から有効な回答を得た。製造業のビジネスプロセスを1.開発、2.製造、3.サービスの3部門に分類し、それぞれの部門においてデータ活用がかなり進んできていることが確認できた。また、データ活用に関して、全社的な専門部署を設けている会社は、部門間におけるデータの相互利用や外部データの活用で進んでおり、より大きな経営効果を上げていることが分かった。しかし、データ利用に対する企業内組織や利用形態、部門間連携については、企業間で大きな格差があり、IoTについて「聞いたことはあるが未対応」とする企業が中小企業においては半数以上を占める。政策的には、中小企業などのデータ利用において遅れている企業の底上げ、人材育成に対する支援、企業間データ連携を進めるための標準化の推進などが求められる。

※本稿の英語版ポリシー・ディスカッション・ペーパー:17-P-027