韓国の産業構造変化・産業発展・産業政策

執筆者 呂 寅満 (江陵原州大学)
発行日/NO. 2016年3月  16-J-025
研究プロジェクト 経済産業政策の歴史的考察―国際的な視点から―
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概要

1960~80年代半ばまでの韓国における高度成長は国家主導・対外指向的成長という特徴を有していた。その間、韓国の産業構造では重化学工業を中心とする第2次産業の急速な比重拡大が見られた。それには、経済政策とくに特定産業の保護・育成を目的に資源を集中的に配分してその波及効果によって経済成長をもたらせようとした産業政策の影響が大きかったと一般的にみとめられてきた。本稿は産業発展に与えた産業政策の影響を、時期別に代表的な産業を事例として取り上げて分析した。1960年代には輸出軽工業の繊維、70年代には重化学工業の造船、80年代前半は合理化政策対象だった自動車産業を分析した。その結果、産業政策の役割は時期別・産業別に異なり、また、民間に比べた場合の情報能力の差によって産業への影響力にも差がみられることが判明した。