サードセクターガバナンスと地方創生

執筆者 喜多見 富太郎  (コンサルティングフェロー)
発行日/NO. 2015年5月  15-J-021
研究プロジェクト 官民関係の自由主義的改革とサードセクターの再構築に関する調査研究
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概要

「まち・ひと・しごと創生法」のもとで、人口減少対策と地域経済活性化対策が縦割り行政を排して一体的に進められている。サードセクターは、人口規模が小さく、人口減少が進む地域ほど常勤雇用の機会を提供しており、地方創生の担い手としての役割が期待される。一方、サードセクターの法制度は、一般社団・財団制度という一般法による団体と特別法による省庁縦割りの団体が併存する。地方創生においては、自治体が地域の実情に応じた独自の振興策をすすめ、その担い手となるべきサードセクターと地域の実情に応じた関係を形成することが重要である。本稿は、サードセクターを対象として、ガバナンスの構造を定量的に分析した。分析結果からは、サードセクターのガバナンスへの「政府による規律付け」を強めることが必ずしも組織の内部統制を高めることにならないというサードセクターの「ガバナンスの罠」が存在すること、省庁縦割りのサードセクターの法制度のもとでは自治体によるサードセクター規制が全国画一的なものとなることが示された。また、サードセクターの内部統制の強化が地域雇用に資することが示された。