執筆者 | 山下 一仁 (上席研究員) |
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発行日/NO. | 2015年4月 15-P-006 |
研究プロジェクト | グローバル化と人口減少時代における競争力ある農業を目指した農政の改革 |
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概要
農業が工業と異なるのは、自然や生物を相手にするため、作業の平準化が困難となることである。しかし、日本の南北に長いという特性や標高差が存在するという特性を活用すれば、作業の平準化を行うことも可能である。これに対応した組織作りとして、南北に展開する農家をフランチャイズ化して、これに種子の供給、労働者の派遣、機械のリースを行うような組織も有効である。法的な組織としては、今のJA農協に代わり、新しい農業の協同組合を主業農家が自主的に設立することも考えられ、行政としては、このような組織を積極的に支援していくべきだろう。
また、日本の農地面積が小さいことを考慮すると、環境に優しい農業を行い、作業を平準化しながら、農地を有効に活用するという観点から、大規模な複合経営を推進すべきである。戦後農政は単作化、専門化を志向してきたし、複合経営は農家の5%でしか取り組まれていない。さらに、以上の取り組みを外部からサポートするような業態の開発・支援も必要である。
最近では、GPS、センサー、ロボット、ドローン、コンピューターなど最先端の工業技術が農業の現場でも使われている。基礎的な研究技術については、国による積極的な支援が望まれる。特に、さまざまな環境の下で、異なる品種や技術を選択した場合に、どのような生産が行われたかというビッグデータの取り組みがなされつつあるが、国が一括してビッグデータを構築することが、より効率的である場合もあるだろう。民間と仕分けをしながら、公共財としてのビッグデータの構築も検討する必要があるだろう。