日本の労働市場における男女格差と企業業績

執筆者 Jordan SIEGEL  (Harvard Business School) /児玉 直美  (コンサルティングフェロー)
発行日/NO. 2011年12月  11-J-073
研究プロジェクト サービス産業生産性向上に関する研究
ダウンロード/関連リンク

概要

この論文では、先行文献における女性の経営参画と企業業績との関係について検討する。女性の経営参画の増加と企業業績の関係について検証した先行研究では、データと方法論の制約のために、正の影響があるという研究と負の影響があるという研究結果が混在している。日本のパネルデータを使うことによって、我々は先行研究では解明されなかった問題に取り組むことができた。2000年代の日本企業のデータによると、女性役員が増えること、女性役員がいること、女性課長がいることは、製造業においては企業の収益性を高めることが分かった。女性役員を雇うことは、特に、北米に本社を持つ多国籍企業の日本法人において企業業績の向上につながる。これらの結果は、時間効果、企業固定効果、時間依存的な非正規雇用者の使用をコントロールしてもロバストであった。女性管理職を雇うことの競争上の便益の一部は人件費節約によるもので、これはBeckerの差別理論とも整合的な結果である。

※本稿の英語版ディスカッション・ペーパー:(11-E-075).