執筆者 |
久米 功一 (名古屋商科大学) /大竹 文雄 (大阪大学) /奥平 寛子 (岡山大学) /鶴 光太郎 (上席研究員) |
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発行日/NO. | 2011年4月 11-J-061 |
研究プロジェクト | 労働市場制度改革 |
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概要
本稿では、ウェブアンケート調査の結果を用いて、日本の非正規労働者に対して必要な政策的対応について、その主観的幸福度の決定要因を包括的に分析して検討した。具体的には、非正規雇用における派遣労働・パート等の雇用形態、その選択理由、雇用契約期間、過去の経験等の違いに注目するとともに、継続調査されたデータの利点を活かして、個人の固体効果を考慮したパネルデータ分析を行った。
その結果、(1)未婚、(2)短い雇用契約期間、(3)非自発的非正規雇用、(4)高校卒以下の学歴、(5)過去の労災経験といった労働者の属性は、主観的幸福度を引き下げていた。このことは、今後の非正規雇用問題への政策対応として、家族政策との関わりも考慮した施策、雇用契約期間の延長、非自発的非正規雇用者に対する正規雇用への転換・登用等のキャリアパスの整備、教育機会提供や就学支援、職場での安全対策推進やその後のケアが、非正規労働者の主観的幸福度の増進に資する可能性を示唆している。