-企業情報開示システムの最適設計-第1編 IFRS導入と最適開示システム設計のあり方

執筆者 古賀 智敏  (ファカルティフェロー) /加賀谷 哲之  (一橋大学) /向 伊知郎  (愛知学院大学) /浦崎 直浩  (近畿大学) /梅原 秀継  (中央大学)
発行日/NO. 2011年3月  11-J-013
研究プロジェクト 企業情報開示システムの最適設計
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概要

国際会計基準/国際財務報告基準(IFRS)の導入にあたって、わが国の産業構造や企業実態に合わせて、情報開示制度を構成する財務、非財務、内部統制および監査の各制度が相互に補完関係をもちつつ制度設計が求められている。本稿では、まず、IFRS導入による日本企業への影響を、企業を取り巻く会計環境という「対外的」側面と、企業の計算・開示に関わる「対内的」側面との2つの側面から検討する。次に、長期的・安定的な関係維持を重視する日本企業の特性を踏まえた財務、非財務、内部統制および監査の各側面の相互補完関係から実効性ある開示制度の設計が求められること、また、日本企業を対象としたIFRSコンバージェンスの浸透状況の検証においてもIFRSの導入が必ずしも価値関連性の増大に結びつくとは限らない一方で、利益情報の透明性などを高める会計処理がより求められるようになることを指摘する。最後に、これらについての理論・実証成果を踏まえて、日本企業の持続的発展可能性に資するIFRSの導入のあり方を論ずることにしたい。