執筆者 |
清田 耕造 (横浜国立大学) |
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発行日/NO. | 2010年4月 10-J-029 |
研究プロジェクト | 産業・企業の生産性と日本の経済成長 |
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概要
本論文は日本の輸出と雇用の関係を分析したものである。1975年から2006年の産業連関表を利用して、各産業の輸出が当該産業の雇用に及ぼす直接的な効果(直接効果)と他の産業の雇用に及ぼす間接的な効果(間接効果)を推計した。分析の結果、過去30年を通じて、日本の雇用の輸出依存度が徐々に上昇していることが明らかになった。2006年の時点で、製造業の雇用のうち約30%は輸出に依存している。この規模は1975年の2倍に上る。また、間接効果は直接効果と同程度の規模に上ることも明らかになった。このことは、輸出の効果の半分は産業間の取引関係(リンケージ)を通じて現れることを意味している。本論文の結果は、ある産業の輸出依存度を見るためには、その産業の輸出だけではなく、関係する産業の輸出も考慮する必要があることを示唆するものである。