執筆者 |
宇南山 卓 (神戸大学) /慶田 昌之 (立正大学) |
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発行日/NO. | 2010年1月 10-J-005 |
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概要
「薄型テレビ」の誕生のプロセスを観察することで、ケーススタディとして、新製品の開発を規定する要因を明らかした。これまで、「ニーズ」が把握されると、R&D投資が実行され、新製品が誕生すると考えられてきた。しかし、薄型テレビに対する「ニーズ」は古くから周知されていたにもかかわらず、長い間、実際には開発されなかった。その理由は、技術的な制約よりも、需要の不確実性によるものである。需要の不確実性は、R&D投資を抑制し、新製品の誕生の大きな制約になる。薄型テレビ市場の主流を占めるLCDテレビは、PDPテレビの登場により需要を顕在化したことにより、参入が可能になったと考えられる。技術進歩を促進するには、新製品の需要に対する不確実性を低下させることが重要である。