日本企業のグローバル経営とイノベーション

執筆者 三本松 進  (上席研究員)
発行日/NO. 2005年8月  05-J-025
ダウンロード/関連リンク

概要

日本企業のグローバル経営の状況を見ると、一部に着実な成果を上げている企業もあるが、一般的には、グローバルな知識経済化時代における事業環境変化とビジネスチャンスを十分に生かし切っているとは思われない。

本研究において、今後の日本企業のグローバル経営にとって必要な要素を、企業の形の要素、組織設計、経営方式、グローバルにダイナミックな競争力、グローバル経営上の組織能力等について概念化した。これにより、日本企業のグローバル経営に関し、これら概念化した要素により、その業種別の企業の行動原理と市場での経営上の成果との関係の新たな全体像を示す研究上の全体フレームを構築した。このフレームの妥当性を内外のグローバル経営上の先進事例で確認したが、概ねその妥当性が確認された。

最近、ディジタル技術、モジュール型技術を活用する産業に属する企業で、トランスナショナル的日本企業が実現し、また、それを超えたグローバルなメタナショナル的な優位性を構築する外国企業が出現し、それぞれ市場で経営上の成果を上げているが、今回の全体フレームで、それらの仕組みが体系的に説明可能となった。

また、今回の研究成果及び上記確認作業で明らかになった日本企業のグローバル経営の強みと今後の課題についての提言も行っている。

いずれにしても、今回の研究は、本領域での新しいフレームワークによる本格的な研究に向けた第一歩であり、関係方面の今後の研究の参考になれば幸いである。