2008-1-4-01

平成20年度「派遣労働者の生活と求職行動に関するアンケート調査(第1回)」

結果概要

独立行政法人 経済産業研究所(理事長 及川耕造、東京都千代田区霞が関1-3-1)は、「派遣労働者の生活と求職行動に関するアンケート調査」(プロジェクト・リーダー:鶴 光太郎上席研究員)を実施した。日雇い派遣労働者、その他派遣労働者(製造業派遣労働者とそれ以外)、その他の不安定雇用に就く労働者(パート・アルバイト・契約社員などの直接雇用者、自由業、失業者)の抽出をウエッブ調査(委託先:株式会社インテージ)により行い、アンケート調査を実施した。その結果、得られた主な結論は次のとおりであり、不安定雇用に就く非正規労働者の多様な就業形態のそれぞれの実状を考慮したきめ細かな政策対応が必要である。

ポイント(主な不安定雇用の形態別特徴と対応策)

  1. 日雇い派遣労働者の特徴と対応策
    親との同居が多く、未婚比率が高い。小さな企業に勤め、公的保険にあまり加入していない。通勤時間が長く、労働日数は少ない方。月収は低め、日払いや半月払いが比較的多い。娯楽費や学費のために、自分の都合にあわせて働いている場合が多い。正社員の勤務経験は他のグループよりも少ない。雇用の不安定さに不満があり、仕事からのストレスや失業の不安も高め。親と同居の者が娯楽費や学費を稼ぐために日雇い派遣を自発的に選んでいるケースが多いため、日雇い派遣労働者の主観的幸福度(回答者が1?10を選択、下図参照)や主観的生活水準は不安定雇用全体の平均よりやや低い程度である。一方、仕事を通した技能の蓄積が困難な状況であり、親への依存が自立を難しくしている可能性がある。日雇い派遣労働に関しては、自発的な就業選択を認めつつ、就業選択やキャリア開発における同居家族以外の継続的なサポート(例えば、ハローワークやジョブ・カフェでの就業・キャリア開発の支援や指導)の積極的な活用によって、就業選択や仕事内容の質を高めていくことが重要。
  2. 製造業派遣の特徴と対応策
    男性比率が高く、未婚・単身世帯が多い。大きな企業に勤め、労働時間が長い。労働日数が多く、月収も多いが、睡眠時間は短い。2006年以降に働きはじめた人が多い。自分が家計の主たる稼ぎ手である場合が多く、正社員として働けないため、製造業派遣を選んでいる。正社員になることを強く希望しているものの、求職活動に十分時間が割けない。雇用の不安定、賃金、昇進機会、福利厚生などに対する不満が多く、失業に対する不安が高い。主観的幸福度・生活水準はかなり低いと感じている。製造業派遣労働者の労働意欲と能力をより引き出すためには、正社員化あるいは待遇格差の是正が必要。
  3. パート、アルバイト等の直接雇用者の特徴と対応策
    夫婦・子どもの家族形態が多く、自分以外の家計支持者がおり、家計の足しに働いている場合が多い。自分の都合に合わせた働き方として、この就業形態を自発的に選んでおり、主観的な幸福度・生活水準ともに高い。一方、契約期間で分けてみると、期間に定めのない者、雇用契約期間が1か月以上の者は雇用契約期間が1か月未満の者に比べ、失業の不安や仕事のストレスは小さく、主観的幸福度は高くなっている。労使双方の希望を前提に、契約期間の長期化を図り、雇用を少しでも安定させて、雇用者の満足度を高めることが重要。

主観的幸福度

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