プログラム:イノベーション

「デザイン」の組織経営への影響に関する量的指標の普及

プロジェクトリーダー/サブリーダー

鷲田 祐一顔写真

鷲田 祐一 (ファカルティフェロー)

リーダー

プロジェクト概要

2021年度までに行った鷲田ら(2022)による直接的先行研究では、国内の大企業18社の調査参加が実現した。具体的な実施内容は、それぞれの組織内構成員に対してその組織のデザイン担当部署の貢献についての統一的なアンケート調査を実施し、その結果を多変量解析や人工知能による分析などの量的手法で仔細に分析することによって、本質的な理解を実現する事であった。それによって、組織におけるデザイン担当部署の貢献を、組織間で量的に比較検討するための主要指標(Key Performance Indicators: KPI)の同定を試みた。当研究の結果によれば、デザイン組織のKPIは「ブランド力の向上」「ユーザーコミュニケーション」「商品価値向上」「提案力、情報提供」「知財」「対応力、信頼」「コスト・スピード」の7要素によって構成され(累積寄与率76.98%)、これらを用いることで、デザイン組織のパフォーマンスに対する当該組織内での総合的な満足度はある程度予測可能であることが報告された。

この7要素について参加企業のそれぞれの獲得点を一覧化し、コレスポンデンス分析を用いてマッピングすることで、各企業のデザイン部門が社内ステークホルダーからどのような評価を受けているのかを、他社と比較できるように可視化してみた。また、参加企業の調査データを個社別に重回帰分析を行い、各企業のデザイン部門の総合満足度がどのような評価要素と結びついているのかを明らかにし、各社にフィードバックした。さらに、その評価構造を学習させた簡易AIも実装し、各社がそれぞれ、どのようなKPI要素を高度化させることでどのような総合評価になるのかを手軽にシミュレーションできる体制も実現した。参加企業からは、この評価は是非経年で見ていきたいという声も多数寄せられた。本プロジェクトによって、同様の調査分析を継続し、企業の「デザイン経営」推進を支援したいと考えている。

プロジェクト期間: 2022年11月21日 〜 2025年4月30日

(上記プロジェクト期間のうち、研究活動期間は2022年11月21日 〜 2024年10月31日とし、データ利用報告期間は2024年11月1日 〜 2025年4月30日とする)