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新年挨拶

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中島 厚志

中島 厚志顔写真

RIETI理事長

2012年の新しい年を迎え、謹んで新春のご挨拶を申し上げます。

2011年は内外ともに厳しい年であったと言えます。国内にあっては、なにより多くの方々や企業が被災した東日本大震災があり、そこからの一刻も早い復興は日本の最優先課題となっております。

また、一段の円高や大震災後の原子力発電所事故によって生じた電力制約、さらには秋口のタイの大洪水などで日本の経済や企業は厳しい状況に直面しております。いまや、一部の輸出企業から国内企業全般に、そして大企業から中小企業に至るまで新たな展開を図る戦略が不可欠となっております。

目を海外に転じますと、2011年は欧州で政府債務問題が深刻化し、金融市場の混乱が世界的に広がった年でもありました。多くの欧州諸国にとって財政赤字を始めとする経済不均衡の是正が急務となっており、大きな財政赤字を抱える日本や米国にとっても決して他人事ではありません。さらに、近年の先進国の高成長の背景に多くの場合経済不均衡拡大があったことに鑑みますと、主要先進国にとって経済不均衡の拡大なく安定した経済成長を実現することも大きな課題となっております。企業活力を軸に経済成長を図る成長戦略が必要とされているのは日本経済だけではありません。

経済産業研究所は、政策形成のプラットフォームとして公共政策に関する政策研究を効果的かつ効率的に実施することを目的としており、2011年には発足後10年を迎えました。そして、2011年度からは2015年度までの5カ年にわたる研究計画(第3期中期計画)を策定、実施しております。多数の研究者による政策研究の積み重ねの結果、量的には論文(ディスカッション・ペーパー)数が昨年末に累計で1000を超え、また、研究の質の面ではアジアNo.1のシンクタンクという評価も得るに至りました。

第3期中期計画では、日本経済を成長軌道に乗せ、その成長を確固たるものにしていくためのグランドデザインを理論面から支えていくこととしており、(1)世界の成長を取り込む、(2)新たな成長分野を切り拓く、(3)持続的成長を支える経済社会制度を創る、との今後5年程度を見越した経済産業政策の重点的な視点に沿って研究を推進しております。そして、2011年におきましては、東日本大震災後の復興に関するものだけを取り上げましても、合計50件以上に及ぶ研究プロジェクト、レポート、セミナー、シンポジウムなどを実施、発表、開催してまいりました。

2012年につきましても、日本を取り巻く経済産業に係わる重要課題、すなわち東日本大震災後の復興、日本の経済成長、貿易投資、人的資本、社会保障などについて、中長期的な視点から理論的・実証的な調査分析、政策研究、政策提言を行い、政策現場とのシナジー効果を発揮する所存でございます。また、日本の経済産業社会の実態やその変化を詳細に把握することは必要不可欠であり、政策インフラとしてのミクロ、マクロのデータベース整備にも引き続き尽力してまいります。

本年が皆様にとりまして希望の持てる明るい年でありますことをご祈念申し上げ、新年のご挨拶といたします。

2012年1月1日

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