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RIETI特別講演会

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「アジアが直面する課題」

(ゴーチョクトン・シンガポール首相によるスピーチテキスト和訳)

経済産業研究所
2003年3月28日

まさに我々の目の前で世界が組み変えられつつあります。それが良い方向に向かうのか、悪い方向に向かうのかはまだ何ともいえませんが。そうしますと、今問われるべきは次のことです。日本とシンガポールは、それぞれの国益のために、いかにしてその結果に影響を及ぼし得るかということであります。

組み変えられつつある世界

冷戦の終結は、以前よりも平和な世界をもたらしませんでした。冷戦後の世界はむしろ、前よりも乱雑で危険な場所になってしまいました。冷戦終結後、我々はクウェートをイラクから解放するため、湾岸戦争に突入しました。湾岸戦争後、サダム・フセインを武装解除するための長い戦いが続き、ついに現下の戦争という事態に立ち至ったわけです。1990年代には、バルカン半島においても、政治的混乱、民族浄化、そしてNATOによる介入という展開がありました。また、ソマリアとハイチでは国家が崩壊し、ルワンダでは民族大虐殺が見られました。その間、イスラエルとパレスチナの対立は、激化する暴力を伴って継続しています。

そこへアルカイダによる戦慄すべき9/11同時多発テロが起きたのです。にわかに誰にとっても安全な場所はなくなりました。我々は皆、この高度に組織化され、潤沢な資金を持つ世界的テロリストネットワークから更なる攻撃を受けることに対し無力です。

地政学的にも世界は組み変えられつつあります。この国際政治・戦略関係の組み替えに関しては、次の3つの主要な展開の寄与するところが大きいのです。
・第1は、米国の力が未曾有の規模で優位にあることです。
・第2は、中国の台頭です。
・第3は、インドネシアにおける政治的断絶です。

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