第2回:マクロ統計で見る、爆発する韓中経済関係

「2001年に中国人44万4千人が韓国を訪問した。これは史上最高でアメリカ人の訪問者の数をも超えている。2001年、韓国は初めて対米投資額より多い8億3千万ドルを中国に投資した。 2002年には1世紀ぶりに、中国が朝鮮半島の最大貿易パートナーとして浮上し、朝鮮半島における中国の歴史的位相を回復した」。

これは、去る1月3日、インターナショナル・ヘラルド・トリビューン(IHT)紙に掲載された「北京とソウルをつなぐ活発な経済交流(Economics warm the ties binding Beijing and Seoul)」と題された記事である。IHTの記事は、単純に韓国と中国が経済的に急激に接近した点を注目しているわけではない。経済問題を通じて両国は近くなり、当然、政治的、社会的、文化的な面でも中国の影響が大きくなっていることから、政治・軍事・安保面でも韓国の最大友邦としての役割を果たしてきたアメリカの地位が相対的に減少しているという現実を説明しているのだ。
IHTは「韓国は北朝鮮核問題と関連し、外交特使を最初に中国に派遣した」とし、さらに「10年前には北朝鮮のGOD FATHERである中国とは外交関係がなかった韓国が、安保問題をアメリカより先に中国と相談するようになった」と続ける。

韓国は全世界的に吹く中国ブームを肌で感じることができる国である。中国ブームの実体である経済分野に限ると、今現在、韓国は他のどんな国よりも中国と密接な関係を結んでいる。韓国のマスコミは1日も欠かすことなく中国関連の特集ニュースを用意し、上海と北京の高層ビルを韓国経済のバラ色の未来を確信させるイメージとして伝えている。経済的側面で韓中関係がどんなに発展しているかは両国間に成り立つ貿易規模から証明できる。

修交から10年で韓国の第1輸出対象国となった中国

韓国銀行が昨年12月に明らかにした統計資料によると、2002年9月基準で韓国の対中国輸出(香港含)の比重は20.5%で首位を占めた。この比重は対米輸出比重20.2%より、少しだけ高い。1950年の朝鮮戦争以後、初めて中国輸出比重が対アメリカより高くなった瞬間である。
韓中の経済関係が活発であることは、韓中貿易の現状と諸外国、特に日本とアメリカを比べてみると、わかりやすい。中国税関が明らかにした貿易統計によると、2002年1月から9月まで中国の総貿易量は4451億ドル、この中で輸出が2326億ドル、輸入が2125億ドルである。総貿易規模を国家別順位で並べると、1位は日本で、輸出343億ドル、輸入385億ドル、総貿易量は728.7億ドルである。 2位はアメリカで、輸出501億ドル、輸入198億ドル、総貿易量は700億ドル。 3位は香港で、輸出422億ドル、輸入78.9億ドルで総貿易量は501億ドルだ。引き続き4位は台湾で、輸出46億ドル、輸入273億ドルで総貿易量は約319億ドル。韓国の場合は台湾にちょっと足りない水準の5位で、輸出109億ドル、輸入200億ドルで総貿易量は309億ドル。 6位のドイツになると総貿易量が200億ドル水準まで落ちる。
結局、中国との交易を主導する国は、日本、アメリカ、香港、台湾、韓国の5カ国に集約されていることがわかる。しかし、香港と台湾の場合、中国が有する政治的状況、内部取り引きの志向が強いお国事情があることを考慮に入れると、結局、中国との貿易を主導する3大国は日本、アメリカ、韓国となる。

日本、アメリカに並ぶ対中貿易のビッグ3になった韓国

中国との貿易でビッグ3の占める割合は、総貿易面で日本が16%、アメリカが15%、韓国が7%だ。韓国の総貿易規模は日本、アメリカに比べ、半分以下の水準に過ぎない。確かに、規模面で韓国は絶対劣勢だが、質的な内容を見た場合、状況は異なる。
図表に現れた韓中貿易の構造をよく見ると、韓中貿易関係はビッグ3の中、最も短期間で成立したことがわかる。韓国が中国と公式的な修交に入ったのは11年前の1992年である。冷戦時、韓国人にとって中国のイメージは、朝鮮戦争当時の中国義勇軍という名前で北朝鮮を助けた「敵」である。さらに、思想的にも韓国とは全く異なる遠くて遠い国として刻印されてきた。朝鮮戦争時、中国義勇軍は北朝鮮人民軍を助けるために100万の大軍を派遣し、結局、朝鮮半島の統一を妨げる結果を導いた。
しかし、そのような中国観は、冷戦終焉の直前に開かれた1988年のソウルオリンピックを通じて一気に消え失せた。韓国は日本より20年遅れて中国と外交関係を築いたが、当時、本格化したトウ少平の改革開放政策に呼応し、中国との特別な関係の増進に力を入れた。修交の初年度である1992年、50億ドルに過ぎなかった韓中貿易は以後垂直的に増加し、9年後の2001年には総額で359億ドルを記録、約7倍まで急成長した。1992から2001年までの間に、日中の総貿易の規模は253億ドルから877億ドルに成長し、3.4倍に増えた。米中総貿易は174億ドルから805億ドルまで上昇し4.6倍に増加した。遅れて出発した韓中経済関係だが、その伸び率は飛躍的である。

2002年、韓国の対中貿易黒字は108億ドルに

韓国の場合、高い貿易成長率と共に、中国との貿易が黒字であることも注目できる。韓国は中国との貿易で1999年60億ドル、 2000年120億ドル、2001年には108億ドルの黒字を記録した。 2001年の韓国の対中貿易黒字規模は中国が1年間に蓄積した対外貿易黒字225億ドルの半分に当たる。同じ期間の日本の貿易収支をみると、1999年14億ドル黒字、2000年1億ドル赤字、2001年には22億ドル赤字がでている。アメリカは1999年226億ドルの赤字、2000年は298億ドルの赤字、2001年には281億ドルの赤字になる。中国との貿易で黒字を記録する国は台湾だけで、大部分の国は赤字貿易状態にある。
急成長に入った韓中経済の現況を確認できるもう1つの指標として挙げられるのは、韓国の対中投資規模だ。韓国の対中直接投資は投資申告基準で、2001年8億3千万ドル、2002年は17億2千万ドルで垂直上昇し、韓国の対海外投資国の1位を記録した。2002年対中投資は韓国の総海外投資額のうち54%を占める。そして、韓国からの第1の投資を得ていたアメリカは、2002年約13億7千万ドルの投資を得るにとどまった。韓国の対中投資はIMF不況に陥っていた1997年からの2年間は減少したものの、1年平均50%以上の増加率を見せている。

朝鮮族と共に、北東地方に集中投資する韓国

対中投資について、韓国が他の国と違う面は、投資地域が黄海周辺地域と北東地方、すなわち山東、遼寧、吉林省に集中されていることだ。韓国が対中投資額の7割をこれらの地域に集中投資する理由を歴史的に文化的に見ると、北東地方が韓国に近く、統一以後韓国の経済圏として浮上する可能性が高いという見方があるからだ。また、北東地方には韓国語が可能な朝鮮族が住んでいることも投資理由の1つだ。朝鮮族は中国全土に存在する55の少数民族のうち、経済的に最も裕福で、文盲率も最も低いといわれている。現在、朝鮮族の人口は約200万人。朝鮮族は韓中経済関係で1番重要な要素の中の1つである。朝鮮族が他の少数民族に比べて経済的に潤沢な理由は、韓国からの資金が入り込むからだ。中国に投資する韓国人の場合、中国事情を確実に把握するまでは、必ず朝鮮族を通してビジネスを始める。結局、朝鮮族が多い所には、韓国関連のビジネスが存在するのだ。


連載第3回は経済的観点で見る韓国の中国観と日本の中国観の比較について。