始めに

朝鮮半島から見る中国は、いつも大きく広く深い、恐怖と力の象徴だった。異民族が中国の王朝を変える時、一番先に被害を受けるのは朝鮮だったからだ。中国王朝にのしあがるのは、いつも、朝鮮と国境を突き合わせる満洲に住む異民族だった。 朝鮮半島は、モンゴルが大陸全体を掌握する以前の1231年から1259年までの約30年間に、およそ6回にわたってモンゴルの馬の蹄の下に膝を屈しなければならなかった。当時、朝鮮半島全体が焦土と化した。
中国の脅威は結局、朝鮮の自国に対する劣等意識、そして中国に対する事大主義となって現れた。
しかし、そのような過去の暗い傷は、現在の韓国人には見られない。1970年代から本格的に近代化した韓国は、あらゆる面で中国を圧倒したと思っているからだ。歴史上、初めて、精神的にも経済的にも、韓国が中国より上に立ったのである。韓国にとって中国は、もはや、恐ろしくて学ばなければならない国ではない。特に、若い韓国人にとっては、中国は言論の自由がない共産国家である。そして、1人あたりの国民総生産が韓国の20分の1に過ぎない貧しい後進国として捉えている。その自信は、1992年8月、中国との外交正常化に入ってから具体化した。韓国が大陸に積極的に進出してから10年経ち、中国はアメリカ、日本を抜いて韓国の最大の貿易パートナーになった。

本連載では世界の工場であると同時に21世紀の新しい主人公である中国を理解する為に、「唇歯関係と言われる朝鮮半島から見る中国」という視点に焦点を当てている。


第4回:なぜ韓国は中国を脅威ではなく、希望として受け入れるのか?
韓国の中国留学ブームから見る未来志向の韓中関係

「韓国では、今、中国ブームに火がついている。貿易投資、文化交流、マスコミ報道、そして人的交流や語学学習にいたるまで、韓国全土に中国旋風が、吹き荒れている」本文を読む >>