■行政評価に馴染みにくいスポーツというソフト

 

 その上で注意を喚起しておきたいのだが、スポーツイベント開催によって期待すべき成果には、所謂「行政評価」には馴染みにくいものが少なくない。第1にスポーツがハードではなくソフトであるという点である。ソフトのアセット評価とは、わが国の最も不得手な範疇といえよう。またスポーツのアセット評価とは、単年度での評価が不可能である点も一般の「行政評価」に馴染まない大きな要素である。 本調査項目のうち、「地域のアイデンティティー」や「意識の一体感」などは、行政評価の対象項目として扱うには厄介な項目には違いないが、スポーツに期待する項目としては一般的かつ正統的でさえあると言えよう。「スポーツの公共性」とは、むしろそういった側面に依拠して成立していると考えられる。
 また現代のような高度に情報化された社会では、決まり切った日常を打破する非日常的な機会、即ちカタルシスを提供する機会の重要性は増している。スポーツイベントはまさにそのイベント性、祝祭性によってその機会を万人に提供する貴重な装置である点、2002年の6月は日本中で改めてそれを実感したが、それもまた行政評価には馴染まないだけではなく、資産として残るものでもない。敢えてその価値を説明するなら、何かを得る価値ではなく、何かを失わない価値とでも意義つけるしかないであろう。