■「国際スポーツイベントによる地域振興」の成果と評価

 

 以上の視点から企画提案され平成10年度に実行されたのが、「国際スポーツイベントによる地域づくりに関する調査研究」である。(納品は11年3月)調査費600万円のうち(財)地域活性化センター/旧自治省が半額の300万円、残り半分を10のWカップ開催自治体で等分に(各30万円を)負担して実施された。この時点で開催自治体はこの調査研究で示された結果にはコミットしたのである。
 今回の「Wカップの事後調査」はこの調査研究の延長上に位置づけられるものであり、調査25項目は、この報告書で示されたものをそのまま利用している。
 「成果」の評価をするにあたって、アメリカのマルコム・ボルドリッジ賞を参考にした「経営品質賞」の考え方を援用すれば、ビジネスの評価には「制度」「稼働」「成果」の3段階が存在する。成果とは飽くまで最終的な目標・目的との関連で評価すべきものだが、成果を出すためにはまず制度を作り、それを稼働させることが必要である。Wカップの開催で地域振興を目指すなら、Wカップが盛り上がることが稼働の条件ではある。従来はその「盛り上がった」ことを「成果」としてあげるような傾向がよく見受けられた。これは「稼働」と「成果」の明らかなる混同に他ならない。当該イベントの成功自体が自治体の開催目的であれば、「盛り上がり」を「成果」とするのも間違いではなかろう。しかし競技団体であればともかく、自治体にとって大会の成功が開催目的となり得るはずがない。ともすると作業は自己目的化するが、冷静に考えればその愚を避けねばならないのは自明だ。この陥穽に捕らわれると、一時的な興奮(例えば長野冬季五輪の「原田の涙」)や華やかさの中で本来の目的を見失い、事後に十分な客観的評価を怠ってしまうはめになる。そうなると長期的なコストパフォーマンスの検証などは望むべくもない。飽くまで当該地域の持続的な発展につながったかどうかが、自治体の成果を計るメルクマールのベースとならなければなるまい。
 従って、例えば「ボランティア」の応募が多かったという結果も、まだ「稼働レベル」の指標でしかないのである。
 こうして考えると、成果の根拠となる「地域振興」とはそもそも何なのかが、最も重要な課題であるとの結論が見えてこよう。そこでは即ち、当該地域が自らの「地域像」を明確に持ち得ているかどうかが問われざるを得ないのである。そして「国際スポーツイベントの開催」とは、たかだかその目的を達成するための手段、あるいは方法でしかないという点、今更ながらであるがここで確認しておこう。