グローバルバリューチェーン(GVC)とは、製品・サービスを市場に持ってくる上で不可欠な、国境を越えた活動および調達のことである。GVCによって輸出が増加し、生産性は向上するが、その結果として途上国の労働市場にもたらされる影響は、国によって大きく異なる。製造業の雇用が大幅に増加する国もあれば、労働需要が製造業からサービス業、低スキルから高スキルな雇用にシフトする国もある。GVCへの統合(参加)が各国の労働市場にどう影響するかは、業種、主要企業の戦略、国内の技術基盤、制度的環境などに左右される。

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Thomas FAROLE 世界銀行アフリカ局シニアエコノミスト
グローバルバリューチェーン(GVC)とは、製品・サービスを市場に持ってくる上で不可欠な、国境を越えた活動および調達のことである。GVCによって輸出が増加し、生産性は向上するが、その結果として途上国の労働市場にもたらされる影響は、国によって大きく異なる。製造業の雇用が大幅に増加する国もあれば、労働需要が製造業からサービス業、低スキルから高スキルな雇用にシフトする国もある。GVCへの統合(参加)が各国の労働市場にどう影響するかは、業種、主要企業の戦略、国内の技術基盤、制度的環境などに左右される。
GVCへの統合は雇用創出の触媒になりうるが、雇用への効果は複雑で、国内だけで管理することは難しい。GVCにおける大規模な雇用創出に必要とされているのは、持続的な低賃金であり、労働力やスキルの向上が起こると、所得格差が拡大し、低スキルの女性労働者にとっては好ましくない結果を招くおそれがある。政策立案に際しては、GVCへの統合を雇用創出源としてではなく、それに伴う生産性向上をむしろ重視すべきである。サプライチェーンの深化と技術の波及効果の利用を促す政策を導入するとともに、スキル開発に重点を置けば、GVCにおける活力の可能性を最大限に活かせる柔軟な労働力を後押しできる。
本稿は、2016年8月にIZA World of Laborにて掲載されたものを、IZAの許可を得て、翻訳、転載したものです。
2016年10月31日掲載
2016年10月31日[From IZA]