執筆者 | 森川 正之 (理事・副所長) |
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発行日/NO. | 2017年2月 17-J-008 |
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概要
本稿では、最近の日本企業における生産性-賃金ギャップを分析する。具体的には、パートタイム、女性、大卒労働者の賃金が、生産性との見合いで過大なのか過小なのかを推計する。分析結果によれば、パートタイム労働者および女性労働者の賃金水準は、生産性への貢献とおおむね釣り合っている。この結果はあくまでも平均値であり、ミクロレベルでは、企業の生産性への貢献に比して賃金が過小な労働者、過大な労働者が混在しているはずである。しかし、平均的に生産性と賃金が均衡しているということは、市場競争の下で、企業が合理的な賃金設定を行っていることを示唆している。政策的には、全体としての賃金格差を縮小していくためには、相対的に生産性の低い労働者の生産性自体を引き上げていくような人的資本投資が不可欠なことを示唆している。
※本稿の英語版ディスカッション・ペーパー:17-E-077