日本のサードセクターにおける協同組合の課題:ビジビリティの視点から

執筆者 栗本 昭 (法政大学)
発行日/NO. 2016年3月  16-J-038
研究プロジェクト 官民関係の自由主義的改革とサードセクターの再構築に関する調査研究
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概要

本稿は「日本におけるサードセクターの経営実態と公共サービス改革に関する研究」の調査結果をふまえながら、サードセクターにおける協同組合の課題を考察することを目的とする。サードセクターにおける協同組合の捉え方については米欧で大きな違いがあり、アメリカではサードセクターは非営利セクターと同義語であるが、ヨーロッパではサードセクターは「社会的経済」とされ、その有力な構成部分として協同組合を含めている。日本の協同組合は世界有数の規模をもつが、日本におけるビジビリティ(可視性、認知度)が低いのは何故か、2012年の国連・国際協同組合年においてもインパクトを与えることはできなかったのはなぜかという問いに対して、各種協同組合が法律、産業政策によって制度的に分断され、異なる発展経路、政治志向、組織文化をもったことから、セクターとしてのアイデンティティが弱かったことを指摘する。最後に日本のサードセクターにおける協同組合の課題を提示する。