第十四回「投資銀行におけるオフショアリングとアウトソーシングの建設期(7)」
実需取引をはるかに上回る規模へと拡大したグローバル金融市場。1995年以降、多国籍投資銀行業界は、アメリカ系投資銀行が中心となり、IT技術を積極的に活用した新しいグローバルビジネスモデルを生み出します。しかし2008年9月15日、経営難に陥っていたアメリカ第4位の大手証券リーマン・ブラザーズは、日本における民事再生法に相当する、アメリカ連邦破産法第11条の適用を裁判所に申請し経営破綻。同時に、他のアメリカ系投資銀行も経営危機に陥ります。まさに本レポートシリーズで分析をしている「国際金融情報スーパーハイウェイ」であるところの投資銀行業界全体が、突如、崩壊したことになります。では、何が原因で、このような現象が起きたのでしょうか。その点を深く追求するために、今回は、1990年以降、急激に規模を拡大してきた、ヘッジファンドの実態を分析します。
第十三回「投資銀行におけるオフショアリングとアウトソーシングの建設期(6)」
1980年代から始まったグローバル金融市場拡大の潮流は、突然、アジア経済に激しく襲いかかります。1997年5月、シンガポールの外国為替市場でタイの通貨バーツに対する売り圧力が高まり、これに対しタイ政府は必死の通貨防衛を実施します。しかしその努力虚しく、約2カ月後の7月2日、アジア通貨危機が発生。通貨、株式、不動産の暴落によってアジア経済は乱気流に突入します。この混乱は、地震によって発生した津波が遠く離れた国々に到達し地域全体に被害が拡大する現象に似ていました。今回は、このアジアを襲った通貨危機の経緯と、その原因を分析します。
第十二回「投資銀行におけるオフショアリングとアウトソーシングの建設期(5)」
1995年1月1日、関税と貿易に関する一般協定(GATT)の枠組みを踏襲する形で、世界貿易機関(WTO)が設立されます。このWTOという国際機関は、それまでGATTで議論されてきた物品貿易だけでなく、金融と電気通信を含むサービス貿易、知的所有権、加盟国間の紛争解決、加盟国の貿易政策まで視野に入れることになります。今回は、このWTOの設立に至るまでの経緯とその枠組み、そしてサービス貿易に関する一般協定(GATS)の位置付けと、その協定が与える投資銀行ビジネスに対するインパクトを分析します。
第十一回「投資銀行におけるオフショアリングとアウトソーシングの建設期(4)」
1995年、マイクロソフト社はオペレーティングシステム(OS)ウィンドウズ3.1の後継としてウィンドウズ95を発売。これに伴い、世界中でインターネットの使用が一気に拡大。情報システムのグローバルネットワーク化の流れを受けて、国際金融の現場では劇的なパラダイムシフトが始まります。このパラダイムシフトは、金融ビジネスを取り巻く「リスク認識」を根底から変化させて行きます。今回は、アジア国際金融市場の一角を担うシンガポールで起きた事件と、それに伴う伝統的国際金融機関の破綻、そしてオペレーショナルリスクに対する関心の高まりを解説します。
第十回「投資銀行におけるオフショアリングとアウトソーシングの建設期(3)」
本年3月に発表された「世界の金融市場インデックス」。東京市場のランキングは、昨年9月時点の10位から1ランクアップの9位。とはいえ3位の香港と4位のシンガポールには、大きく水をあけられています。本シリーズの中心的な問題意識は、「どうすれば国際金融市場としての東京市場の地位を回復できるのか」。その政策立案の参考として、今回は前回のレポートで紹介したスイス米系投資銀行が、1995年前後にグループ内オフショアリングの拠点として選択した、シンガポールの国家戦略を分析します。
