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※本プロジェクトは、終了しております。

情報家電の現状と展望

いま、とても売れているデジタル家電とは何か?素朴な疑問からはじまり、それぞれの商品カテゴリ毎にアナログ時代のとの進化のレベルを検証する。さらに通信のデジタル化と融合することで今後どのような社会変化が起きようとしているのか?少しづつ現れているデジタル社会へのイノベーションの萌芽を見つけなから、後の章につづくためのイントロダクション的役割を担う。

2004年12月13日 ボーナス商戦を見に行く

店頭価格の不在
JMR生活総合研究所の松田氏が「店頭での価格競争の激化で、情報家電は時価になった。もう、寿司屋のネタと同じだ!」と先日の経済産業研究所の講演でおっしゃっておられましたが、まさしく、その通りでした。もともとオープンプライスが定着してる家電小売り業界ですが、ほとんどの製品には値札には斜線が入っており、店員に価格を交渉するスタイルになっておりました。パソコンの部品、ソフト等にはそのような売り方はないのですが、ことにデジタル家電とPCとPCの周辺機器では、このような売り方が一般化しているとのことです。他店での値段やネットの「kakaku.com」での掲示金額を参考に価格交渉しておられる人がたくさんいました。

情報家電の説明がない
複数の家電量販店を回ったのですが、やはり、通信を利用した(LANインタフェースを利用)サービスについて(TナビやEPG)の実演が出来る環境は売り場は無かったです。つまり、旧来のTVやVTRの販売とあまり変わらない売り方が成されていました。特にDVD-HDレコーダに至っては、筐体をただ並べただけの販売が数多くされていました。
個人的には、DVD-HDレコーダはHDに蓄積された映像データを管理するユーザーインタフェースもかなり重要な評価ポイントとなると思うのですが、これでは利用者がどのような操作イメージで機器を制御するのか検討が出来ないと感じました。単にDVDにTV番組を書き込むのであればVHSデッキと同じでいいのですが・・・・

ネットワークプレイヤー
製品数がものすごく増えていました。形はDVDレコーダーやプレイヤーの形をしていますが、コンテンツはPCのHDからLANを通じて、ストリーミングとして取り入れ、プラズマや液晶や大型TVで映像を視聴するもので、価格が非常に安いのが特徴です。今回のレポートを作成した時点では、とてもマイナーな製品であったため、考察は控えたのですが、日本のメーカーでも大手も参入しており、今後注目すべき製品であると思いました。単体だけでは、単なるDVDプレイヤーですが、PCを所有する人々にとっては、本製品をゲートウェイとして、既存のNTSCモニタに映像を出力できる点がポイントです。そのためPCの周辺機器とも呼べる製品ですが、今後、PCのCPUの64bit化に伴い、マルチメディア化が進むと考えられると、かなり脅威な製品です。しかし、現在発売されている薄型TVやDVD-HDレコーダでも同等のハードウエアのアーキテクチャを持っているので、製品デザイン次第で取り込める機能でもあると思います。
(しかし、どうして取り入れた製品がないのでしょうか?)

HD型MP3プレイヤー
iPodライクな製品がたくさん出ていました。今後はメモリ蓄積型よりもHD蓄積型のほうが主流になるような雰囲気がありました。また単なるHDの容量の競争だけでなく、デザインや選曲や音楽のハンドリングなどの使い勝手の競争が始まっていました。やはり、売れ筋はiPodのようです。他社のプレイヤーとiPodを比べると、iPodにはケースから、スピーカー、録音装置、FMトランスミッタなどのサードパーティの製品の豊富さが格段に違うと思います。自社で囲い込みせず、積極的に外部の企業の周辺製品作りを広げネットワークの外部性を消費者に訴求している点はiPodのほうが進んでいます。「消費者に、利用可能性の広さを伺わせる情報環境作り」はこれからの製品差別化戦略には必要です。

エアコン・除湿機・マッサージチェア
製品つくりと消費者への訴求のための製品差別化戦略はこちらの製品分野のほうが進んでいます。フィルタの自動洗浄、イオン効果、音楽に合わせたもみ具合など、同一の商品カテゴリーの中でひしめき合う家電の競争では、これらのものつくり、情報環境作りはかなり成功していると思います。

コンテンツ
500円のハリウッド名作映画やアメリカの人気TVシリーズのBOXセット、昔のファミコンのソフトのゲームのリニューアル版からネットワークゲームの最新作まで、莫大な量のコンテンツが販売されています。また価格も相当廉価な価格で販売されているため、(DVD映画はCDよりも安い)コンテンツそのものよりも、コンテンツを購入する前の情報のほうが価値があるような気がします。莫大な情報の洪水のなかで、自分はなにをしたいのか?を検討できる情報が必要と感じました。

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2004年12月13日掲載