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総論

ここでは、報告書II「基本的な戦略」について、執筆者の村上敬亮情報政策課長補佐、森川毅情報経済課係長が解説します。ここでは、基本的に報告書第II部で論じている、戦略Iとしての、新しいイノベーションを核とした収益モデル構築への戦略、そして戦略IIとして、従来から強みを発揮してきた部分をどう伸ばしていくかについて、議論を進めていきます。

2004年11月14日 11/1「情報家電の将来に関する研究会」の議事録です!!

予告をさせていただいた、「月曜日の集まり」の簡単な議事メモをアップします。コメントなどいただければ幸いです。

経済産業省からの説明の後、主立った発言は以下のとおり。

○ コンテンツエージェントをしている。
情報家電はこれまでと見た目は変わらず、何に役立つのかがピンと来ない。以前、国交省が首都機能移転のイメージを出したが歯が浮くような絵でダメだった。生活が具体的にどう変わるのかを絵(ビジュアル)で見せることが大事。

○ ソフト会社で技術戦略の責任者をしている。
日本市場は、ハイエンドから入りやすい。小型のDVDプレーヤなどもそうだが、日本のメーカの方が小さくて高機能である。しかし、世界のボリューム感、コスト感で作れるかという点は、確かに難しい。日本で作るということは、日本での産業集積をどう作っていくか、雇用環境等下部構造をどこまで含むことになるのだろうか。特に、ソフトを作った人がいても、サービスを作った人がいない。

○ 家電関係のコピーを手掛けている。
男性は、すぐ道具の品質にこだわるが、女性の発想は道具で何ができるかである。
ソフトが増殖するものは生き残る。インターネットは流したい人が集まって流しているから発展してきた。iモードが一人勝ちしたのはHTML準拠だったため、ソフト開発しやすかった。ソフトが自動的に出てくるパターンを探すことが、情報家電の勝ち組を見つけるために必要である。
川上が食いつくものというものは何かが重要であり、家電メーカ自身が一生懸命にやるようなものには、だいたい次がない。(苦笑

○ マーケティングコンサルティングを行っている。
道具そのものではなく、何が出来るかがポイントというのは、まさにそのとおり。ポケベルは、女子高生がいろんな使い方をしたことによって普及した。情報家電をどういうところで使っていくのかがそのイメージの確定が、普及のポイントになるのではないか。

○ インターネットを活用したマーケティングを行っている。
本日の会合に出席するに当たり、主婦のPCインストラクターの300名にアンケート調査を行ってきた。アンケート結果の大半が、「情報家電が何か分からない」ということであった。そこで、「何か分からない」を更に設問したところ、家事の省力化にはこれ以上「興味がない」とか、夫の在宅勤務とかホームシアターなど「夫が家にいること家事(世話)をしなければならなくなるのは困る」という意見が上位を占めた。逆に金を払っても良い機能としては、セキュリティであった。

○ 携帯のビジネス開発を行っている。
携帯系と違い、固定系通信事業者はバラバラ。村上補佐の説明にもあったとおり、家電メーカもバラバラで市場支配力がない。ベースとなるサービス(方向性)を何か打ち出さないと、次はない。国民的な一つの名前でも考えたらどうか?

○ アップル社はiPodを、家電はなくルイビトンのバックと同じに考えた。社長が売り場の1/1スケールまで作って、売り方にまでこだわった。良いものを高く売る。こういう発想が家電にも必要だ。ちなみに、ホームシアターのおかげで、子供が大人しくしてくれるようになった。家族全員で、大歓迎している。(笑
ただし、ホームシアターは、デバイス(機器)だけを売っていてもダメ。米国で平面パネルTVが売れないのは、画質に対する要求水準の問題ではない。暗い部屋と天井が下がるプロジェクターという非日常こそが必要。米国では、ホームAV設置サービス業社も結構な市場を作っている。日本の家電メーカは、本当の使われ方が分かっていない。

○ 働く母親の生活スタイルを発掘している。
消費者にどういう価値を提供しているかが上手く伝わらないと認知がとれない。情報家電が生活をどういう風に変えていくのか。
時間がなければ金で解決する。家事の省力化ならいくらでも金を出す、をはじめ、ビックリするくらい金を出す人がいる。こういう人こそ、狙っていくべき。ワーキングマザーに何が出来るか、こういう視点から、物事を追いかけていきたい。

○ ウェブのユーザービリティ評価やホームページ制作を手掛けている。米国ではティボが売れている。日本で売られている同機能の製品とは売り方が全く違う。

○ 弊社内でマーケティングを担当している。レポートに書いてあることは同感する。
ライフソリューションサービスでどのように儲けるか。弊社グループ内でも上下の(台形の)分断がある。議論は重ねているが、実際の動きに繋がらない。米国ではホームネットワーク専門の会社がある。家庭レベルでのSIが日本でも必要になるのではないかと思っている。
レポートでは、情報家電とPCを対立的に位置付けているが、PCを再構築(モジュール化)するという手もあるのではないか(例えば携帯ハードディスクに、CPUやメモリ、外部I/Fのモジュール等を組み合わせたiPodのようなモバイルPC)。PCもTVも、結局目指している物は同じかもしれない。

○都市開発関連業界から家電メーカへ転職した。
レポートに書いてあることは、全く同感する。
情報家電は、家電メーカの中でも見えてきてない。消費者は、多少便利になるぐらいでは金を出さない。憧れとか驚きがないとダメ。まだそこまで行ってない。監視カメラが売れているが、人がエージェントとして介在している。人を媒介しないで新サービスを提供できるような技術が実現できないと難しい。

○ 家電メーカで知的資産事業を担当している。
レポートに書いてあることは、まさに我が意を得たりの思い。しかし、まとめの絵にある、上の台形と下の台形をつなぎ合わせるのは不可能ではないか。いわゆる死の谷である。大会社にいると、本当にそう思う。
技術者はできるできないの世界しかイメージしない。サプライズをイメージするのは、下の台形の業者には難しい。上にいる業者としたにいる業者を強制的に入れ替えるようなことは出来ないか(笑

○ ソフト会社で技術戦略の責任者をしている。
投資の意思疎通とバランスシートの見方が違っている。ディシジョンメーカが国内に不在。海外戦略ができていない。海外へ向けてのPR不足。
日本人のライフスタイルを格好いいと言わせるようなアプローチが無いか(文化的な先行性)

○ マーケティングコンサルティングをしている。
明るい生活が描けていない。21世紀後半、22世紀の世界をイメージすることが大事。ユーザの声を聞かないとモノを作れない人が増えた。直接教えてもらうだけでだめ。まず、自分で考えることが抜けている。クリエイティブや聞いたことを深く考える(思いやり)ことをモノ作りに活かすことが大事。技術の話が先行するのは、いい加減止めた方がよい。

○ モノが余っている時代では、情報家電を持つことにステータス性がないと情報家電は売れない。昔はカラーTVを持つことがステータスであり、買えなきゃ死んでやるくらいの勢いだった。
自分で作って売っている(直販)企業は儲かっている。価格勝負では、1、2社に淘汰される。成長力は収益力を食う。収益性の高い、ある部分Localizeされたビジネスは、日本の場合、量の成長を求めるステークホールダーに後押しされて途中から成長路線を目指し、結局息切れする。そこに待っているのは、量の成長力で市場を支配している既存の大企業であり、そうやって収益力の高いビジネスが成長力のある企業に食われてきた場面を自分は製造業の世界で何度となく見てきた。
ビジネスの継続性と質で勝負すべきであり、市場の評価基準を変えていく必要がある。

○ 弊社内でインターネットを活用したビジネス推進の責任者をしている。
ユーザの声を聞いて商品が売れるかというと、そうでもない。消費者が形を想像できる物には真実はない。欲しい物は聞く必要があるが、形を考えるのはこちらの仕事。家電メーカは、値段の説明しかしない。使い方の説明をしない。これは、繊維業界からするととても不思議な話。付加価値(驚き)を消費者に分かりやすい形で提供することが必要。ユーザの声を聞くと言うことを真剣に考えなければならない。
流通系にものは作れない。最後は、メーカ直販の形でしか、高付加価値製品は売れないかも。

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2004年11月16日掲載