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総論

ここでは、報告書II「基本的な戦略」について、執筆者の村上敬亮情報政策課長補佐、森川毅情報経済課係長が解説します。ここでは、基本的に報告書第II部で論じている、戦略Iとしての、新しいイノベーションを核とした収益モデル構築への戦略、そして戦略IIとして、従来から強みを発揮してきた部分をどう伸ばしていくかについて、議論を進めていきます。

2004年10月30日 情報家電の本丸は何か?

このブログも始めてそろそろ一か月です。
トラックバックやコメントをいただいた方には本当に感謝しています。ありがとうございました。
また、Blog以外の形でも、実に色々な方から意見を頂戴しました。やっぱり役所のHPは書き込みにくいですかね。(苦笑) そうしたご意見も、少しづつご紹介していければなと思っています。

さて、一番たくさんいただいた質問。それは、

「あなたの言いたい情報家電って、一体、何・・・?」

ってことでした。 (爆
そこで、本日は、情報家電の本丸は何か、ということについて、少し私見を述べてみたいと思います。

一言でいうと、僕は、テレビだと思います。

BMLじゃなくて、XMLデータが平気で映せて、IPで繋がるパネル。NTSC信号だけじゃなくて、いろんな信号を映しちゃうパネル。イーサネットがついて、Firewireにも対応して。B-Casカード以外の認証手段も使えて、無線LANにも対応できて。テレビが本当に、テレビじゃなくて「パネル」になる日。もちろん、それに近いフラットパネル「ディスプレイ」も出てますけど、結局、そういう風には使われていないですよね。一言で言うと、IPで繋がる「フラットパネル」。これが、議論していて一番分かり易い例じゃないかなと。

次に多かった質問。

「いろいろ言いたいことがあるのは分かるけど、どうして家電がネットワーク化しないのか、答えが無いじゃない・・・?」

そうなんです。(笑
本文の中で、サービスともっと一緒になれ、消費者と一緒にものを考えろ、作り手(売り手)と使い手の融合とか言いながら、やっぱり「機器をどうやって売るか」っていう視点にはまりすぎていたんですね。きっと。

でも、上の二つの質問について、一応言い訳します。

僕にとっては、情報家電の主役がテレビでなくて白物でも良いし、カーナビでも良いし、携帯でも良いし、ひょっとすると家具なのかもしれないし、家そのものなのかもしれないし、それ自身は最後はどうでも良いことなんです。確かに、デジタル家電はネットワーク化してくれないと困るんですけど、そのために通信事業者が主役に立つ必要もないと思うんです。

大切なことは、消費者が「こんなことが出来たら便利だな」っていう、若しくは、「消費者のちょっとした思いつき」ってことが、実際の技術とすぐに結びつく環境を作ること。それが、家の中でどんどん実現すること。そういう市場を日本に作りたいってことなんです。そこからスタートすれば、結果として、情報家電もネットワーク化するし、テレビもパネルになるし、生活ももっと便利になるし、色々な差別化された商品・サービスの市場も出来るだろうと。

すごく単純に言い換えてしまえば、「まず最初にマーケティングが必要だ」ということを言っているに過ぎないのかもしれません。でも、この一言って、とても重いと思うんです。何故かというと、特にITの分野の場合、「技術屋さんの技術に対する誇り」が強すぎるからなんですね。

この間も、マーケティングを専門にする方から話を伺いました。「開発部隊」の皆さんは、この技術が売れるはず、って、今度は、消費者が欲しい物を聞こうとしない。こちらが問いかけると、「じゃあ、どういう技術が欲しいんだ?」って直接的に技術に対する答えを聞こうとする。でも、それじゃダメなんだって。マーケティングは、消費者がどういうパネルや、どういうバッグが欲しいかを示すことは出来る。でも、それをどういう技術で解決するかは開発部隊の考えること。その間に厳しいコミュニケーションがあって始めて、技術が形になる。でも、今、あまりにも工程が複雑になって、専門化が進んで、社内にすごく有益な知見が眠っていても、それが全然出会えない。マーケティングが重要なんてことはみんな分かってるんだけど、案外、そういうコミュニケーションができる機会が乏しい。同じサーバの中の同じフォルダの中でニアミスを起こしていても、全然お互いがお互いの持つ意味に気がつく機会がない。

そんな中で、情報家電の場合、製造装置、部品、パネル、完成品、量販店、ソフト部品、ソフト開発、コンテンツ・サービスって、気が遠くなるくらいいろんな階層のビジネスが関与するようになっている。消費者の声って、一体誰の所にどう持っていけばいいの?だから、誰かが上から下まで全部一人で仕切るの?そうじゃないでしょうと。・・  そんな話がしたいんです。

テレビだって、パネルになろうと思えば、医療、教育、安心・安全サービス、放送、色々な業種のサービスと、そこに技術を提供している人達も含めて、みんなで消費者の声を聞かなきゃいけない。それが上手く結びつけば、きっと僕らが想像もしてなかったようなサービスができるようになる。でも、そんな場って、今どこにあるのよ? みたいな。

お役所の立場からすると、大切なことは、特定の商品をどうこうすることじゃ無いんです。それは、それぞれの商品を考えておられる企業の方が考えること。でも、ここまで複雑化した市場の中で、消費者の声が結果として提供される商品・サービスに反映されやすいような市場を作るための環境を如何に整えるかって、結構重い課題だと思うんですよね。

なんて言っているうちに、また話が抽象的になってきましたね。もう少し、具体的に書けるように、更に工夫していきたいと思います。今後。。(苦笑

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2004年10月30日掲載