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※本プロジェクトは、終了しております。

総論

ここでは、報告書II「基本的な戦略」について、執筆者の村上敬亮情報政策課長補佐、森川毅情報経済課係長が解説します。ここでは、基本的に報告書第II部で論じている、戦略Iとしての、新しいイノベーションを核とした収益モデル構築への戦略、そして戦略IIとして、従来から強みを発揮してきた部分をどう伸ばしていくかについて、議論を進めていきます。

2004年10月17日 生活空間と通信インフラのエッジについて

ADSL,FTTH、CATVインターネット等の通信インフラのエッジ(サービス提供者の品質責任範囲)の多くは電話機の近くにあります。これはADSL等が既存の電話回線を利用して、通信を行っているからです。また、FTTHやCATVインターネットにおいても、利用するPCのそばにエッジを設けることが多いです。
その通信インフラのエッジから、個人がLANや無線LANを用意して、PCと繋げるということが、今、一般的に行われている家庭でのインターネット利用の実態だと思います。

しかし、情報家電が家庭に入ってきた際には、はたしてこれらの環境ですぐに利用できる環境になるかというとかなり難しい課題がまだ残っているといえます。
そのひとつに、家庭に置く通信のための装置であるルータやADSLモデムの設定行為が、PCなしでは不可能なことであると思います。すると、情報家電をインターネットに繋いで活用する際には、ユーザーがPCを所有していることが必須となり得ている点は情報家電の普及の課題であると考えます。

さらに今まで、家庭でのインターネット利用がPC機器に限られていたため、通信インフラの装置群もまた、PCに最適化されている現実と、通信のサービスを提供している通信キャリアが設定方法をPCに限定して(ほとんどのキャリアがWindowsとMAC OS2種類のPCを想定)いる点は、情報家電を一般的に普及させるための課題であると考えております。

極端な例を想定すると、PCの利用が出来ない方が新規に情報家電を買った際に、だれが責任もって通信を確立し、保証するのか?という問題は、私達が総論で想起した「情報家電を利用してサービスを提供することを考える事業者」にとってはサービス加入者を拡大するためには切実な問題であると痛感しております。(現状であれば、PCとインターネットを利用出来る人にしかサービスを提供できない)
このあたりの課題が「ラスト10m問題」として、個人の生活空間の中に横たわっており、早急に解決が情報家電の普及の糸口になると考えております。

もりかわ たけし

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2004年10月17日掲載