RIETI経済政策分析シリーズ6

『企業福祉の制度改革――多様な働き方へ向けて』

経済政策分析シリーズの最新刊(03年9月現在)である本書は、今後日本において大きな課題となるであろう企業福祉について、経済学的視点から論じた、タイムリーな本です。

そもそも、日本の企業福祉はどのような特徴を持っているのでしょうか。序章にある認識をまとめると、「日本の企業(特に大企業)は主に男子正規社員を対象に、手厚い企業福祉を提供してきた。それは国の貧困な社会保障制度を補完する役割を持ち、安定した労使関係、ひいては日本企業の生産性向上にも寄与した」となります。

一方で最近では、「女性労働の活用や労働時間などの面で多様性が求められ、さらに企業を取り巻く環境(対外競争環境や人口構造)の変化により、企業がこれまでのような手厚い福祉を提供していくことが困難になっている」という状況です。

(東洋経済新報社 佐藤朋保)