正社員のワーク・エンゲイジメント

執筆者 久米 功一 (東洋大学)/鶴 光太郎 (ファカルティフェロー)/佐野 晋平 (神戸大学)/安井 健悟 (青山学院大学)
発行日/NO. 2021年9月  21-J-045
研究プロジェクト AI時代の雇用・教育改革
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概要

本稿では、経済産業研究所が実施したWEBアンケート調査の個票データを用いて、正社員に分析対象を限定した上で、ワーク・エンゲイジメントの先行要因を分析した。

はじめに、ワーク・エンゲイジメントが、賃金や仕事満足度に正に、離職意向に負、組織市民行動と正に相関することから、ワーク・エンゲイジメントの向上は、正社員と企業の双方にとって望ましいことを確認した。

次に、ワーク・エンゲイジメントの先行要因を実証的に分析した。外向性、勤勉性、開放性が高い人、自尊感情や統制の所在、正の互恵性をもつ人、残業があり、業務範囲が広い仕事、スキルを高められる、人と関わる仕事、自律的に働き、助言や相談を得られる人ほど、ワーク・エンゲイジメントが高かった。また、職務特性(技能多様性、タスク重要性など)とワーク・エンゲイジメントとの正の相関が示された。

これらの結果は、正社員の自律的で多様な働き方を実現するためには、ワーク・エンゲイジメントの向上につながるような仕事機会の提供、職場の雰囲気の醸成、個人や仕事の資源を考慮した人事施策が求められていることを示唆している。