輸出商社のビジネス実態

執筆者 占部 寿美子 (経済産業省)
発行日/NO. 2019年1月  19-P-003
研究プロジェクト 組織間のネットワークダイナミクスと企業のライフサイクル
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概要

専門商社をはじめとする商社は、単なる仕入れと販売にとどまらない機能を有し、中堅・中小製造企業商品の輸出を支えている可能性が考えられる。本稿は、主にアンケート調査に基づいて、輸出商社のビジネス実態を明らかにするものである。

主な発見事項は、1)輸出商社の強みや利益の増加動向に関して、都市と地方における違いは小さいこと、2)輸出を行う専門商社は、多くの強みと効率的なビジネスを背景に、輸出額や輸出による利益を増加させている企業割合が高いこと、3)輸出商社の多くが中堅・中小企業商品の輸出経験を有しており、大手メーカー商品よりも中堅・中小メーカー商品の紹介を希望していること、4)輸出仲介手数料率は、商社の個々の強みや地域性、商品や取引の属性によって異なり多様であること、である。

上記事項は、地方商社を含めて、輸出商社の強みをうまく活用することが、地方や中堅・中小企業商品の輸出拡大につながるだけでなく、輸出商社側・中堅・中小メーカー側双方の利益となる可能性を示唆する。