公的な産学連携支援策に係るスピルオーバー効果の観察

執筆者 秦 茂則 (コンサルティングフェロー)
発行日/NO. 2018年12月  18-J-034
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概要

本研究では、産学連携促進策として実施されている国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)のシーズ顕在化タイプの助成事業の受給企業を対象に、事業の成果である出願特許(成果特許)及び同時期に当該受給企業が出願した特許(企業単独特許)に着目してどの程度他者の出願特許に引用されているかを観察し、公的な研究開発促進策における知識のスピルオーバー効果について検証した。

スピルオーバーの有無を示すダミー変数を被説明変数とするロジスティック回帰分析を行ったところ、A-STEPの成果特許は企業単独特許と比較して知識のスピルオーバーの確率が高いとする統計的に有意な結果は確認できなかった。他方で、審査官によって引用された回数はスピルオーバーの確率を約35%高めることが観察された。