英国におけるエビデンスに基づく政策形成と日本への示唆-エビデンスの「需要」と「供給」に着目した分析-

執筆者 内山 融 (東京大学)/小林 庸平 (コンサルティングフェロー)/田口 壮輔 (三菱UFJリサーチ&コンサルティング)/小池 孝英 (財務省)
発行日/NO. 2018年12月  18-P-018
研究プロジェクト 日本におけるエビデンスに基づく政策の推進
ダウンロード/関連リンク

概要

本稿では、英国における1990年代後半以降のEBPM(Evidence-Based Policy Making)の進展状況を詳細に整理していく。具体的には、ブレア政権における白書「Modernising Government」やGreen Book・Magenta Bookの役割、各政権が実施してきたSpending Reviewと目標管理の行政運営の関係性、事前評価・事後評価の実態、政府内における専門職人材の役割、What Works Centreをはじめとした独立機関の役割などをみていく。そのうえで、英国における取り組みをエビデンスの「需要」と「供給」という両面から整理したうえで、日本においてEBPMを進める上での示唆を明らかにする。具体的には、エビデンスへの需要を高めるための社会的なコミットメントや、政策形成のなかでエビデンスを活用していくための仕組みの構築、専門職人材の活用等によるエビデンス供給のケイパビリティ強化、独立性の高い機関によるエビデンスの創出・翻訳の意義、エビデンスに対する需要と供給のマッチングの向上等がカギになると考えられる。