スウェーデンにおける地点別送電料金

執筆者 熊谷 礼子 (帝塚山大学)
発行日/NO. 2018年1月  18-P-002
研究プロジェクト 電力システム改革における市場と政策の研究
ダウンロード/関連リンク

概要

本稿は2017年3月にスウェーデンの送電事業者(TSO)であるSvenska Kraftnatを訪問して得た知見を基に、スウェーデンにおける送電料金について整理し、我が国の送電料金制度設計への示唆を得ることを目的としている。
スウェーデンでは地点別送電料金を導入している。発電事業者の送電線への電力注入、需要家の送電線からの電力の引き出しによる追加的送電コストは発電事業者や需要家の立地によって異なる。地点別送電料金はこの立地によるコストの違いを反映することによって、発電事業者と需要家の効率的な立地を促すことを目的としている。追加的送電コストのうち長期の限界費用にあたるインフラコストにかかる部分は全体の7割を占め、容量ベースで課金される。一方、短期の限界費用にあたる送電ロスにかかる部分は全体の3割を占め、従量課金される。地点別料金の係数が負になる地点もある。インフラコストのうち支線にかかる部分は地点によらない基本料金で回収する。また、幹線にかかる費用のうち長期の限界費用で賄いきれない部分も地点によらない基本料金で回収している。結果的に容量ベースの料金は地点によって変動する部分が16%、地点によらない部分が84%になっている。