執筆者 | 武田 邦宣 (大阪大学) |
---|---|
発行日/NO. | 2018年1月 18-J-001 |
研究プロジェクト | 現代国際通商・投資システムの総合的研究(第III期) |
ダウンロード/関連リンク |
概要
中国国有企業による海外直接投資(FDI)は、原発事業、高速鉄道事業など戦略的な産業分野に関するものが多く、しばしば日本企業との競合が問題になる。それら中国国有企業は「企業」なのか「国家」なのか。本ペーパーが検討対象とするEUのEDF/CGN/NNB事件決定(2016年)は、同問題を考える上で、重要な示唆を与える事例である。欧州委員会は、中国国有企業による原発輸出を目的とした直接投資(EU企業との共同出資会社の設立・運営)について、競争法の適用上、エネルギー産業において活動する中国国有企業間の経済的一体性を明示に認定したからである。本ペーパーでは、(1)EU競争法が国有企業をどのようにコントロールしてきたのか、また(2)EDF/CGN/NNB事件において、中国国有企業の経済的一体性(他の国有企業との関係、また国有企業と国との関係)についてどのような判断が示されたのかを検討する。そして、これら作業を通じて、競争法による国有企業規制のあり方について示唆を得る。