【WTOパネル・上級委員会報告書解説㉑】米国-原産国名表示要求(COOL)事件・履行確認手続(DS384/RW、386/RW)-TBT協定2.2条の解釈枠組みの明確化-

執筆者 内記 香子 (大阪大学)
発行日/NO. 2017年8月  17-P-025
研究プロジェクト 現代国際通商・投資システムの総合的研究(第III期)
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概要

本件は、米国-クローブ入りタバコ規制事件と米国-マグロラベリング事件にならんで、TBT協定(貿易の技術的障害に関する協定:Agreement on Technical Barriers to Trade)の3大紛争(Trilogy of TBT cases)と言われる紛争の1つであったが、本件の履行確認手続後に問題の措置は撤廃されて紛争が終了した。TBTの3紛争の中で、唯一最後までTBT協定2.2条が主要論点となり、とりわけ本履行確認手続を経て、2.2条の解釈適用の基準が明らかになった点が興味深い。しかし、いまだ2.2条違反を得られた事例はなく、申立国にとって問題となっている強制規格に代わる代替措置を挙げることの難しさが示された。