執筆者 | 内記 香子 (大阪大学) |
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発行日/NO. | 2017年8月 17-P-024 |
研究プロジェクト | 現代国際通商・投資システムの総合的研究(第III期) |
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概要
本件は、米国-クローブ入りタバコ規制事件と米国-原産地国表示要求(COOL)事件にならんで、TBT 協定(貿易の技術的障害に関する協定:Agreement on Technical Barriers to Trade)の3大紛争(Trilogy of TBT cases)の1つであり、現在も唯一の係争中の案件(2回目の履行確認手続が継続中)である。本件は、1回目の履行確認手続であったが、再パネルの判断が十分ではなかったことから、履行確認の役割を十分に果たせていない。主たる争点は、TBT協定2.1条の解釈適用において、米国のラベリング措置の条件がイルカに対するリスクに合わせて調整されたものであるかどうかという、いわゆる“calibration”概念をめぐるものである。本稿では、本件で明らかになった“calibration”概念の位置づけと内容について分析する。