資源大国のカザフスタン 〜そのSOEに対していかなる国際経済法的規律が導入されているのか?〜

執筆者 ウミリデノブ アリシェル (名古屋大学)
発行日/NO. 2017年4月  17-J-029
研究プロジェクト 現代国際通商・投資システムの総合的研究(第III期)
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概要

本稿は、中央アジア諸国において天然資源・領域・経済的に大国であり、大きな影響力を持っているカザフスタン共和国(以下、カザフスタン)のSOE規律を巡る国際経済法規律の枠組みを検討するものである。ソ連解体後に移行経済方式として、急進主義的な改革理念に基づいたラディカルな市場経済政策を取り、数回にわたる民営化プログラムを通して民営化を進めたカザフスタンには、まだSOEのプレゼンスが高く、GDPの半分以上がカザフSOEによって生産されていると言われている。さらに、民営化プログラムを行うとは言うものの、重要な財産は政府系ファンドの管理の元に残り、国家補助金規制においては国内競争法も効果的に機能していない。

他方では、2015年にロシアがリードするユーラシア経済連合協定が発足し、また同年WTOに加盟し、EUと新しい拡大パートナーシップ協力協定を結んだ。重要なのは、カザフスタンが活用する価格規制についてWTO加盟議定書において約束を行い、EUとの拡大パートナーシップ協力協定においてはSOEを規律する特別章を設け、カザフスタンはそのSOEに関する国際経済法的規律を一気に強めたことである。これらの経済協定はまだカザフスタンのSOEに関して十分な執行の歴史を持たないが、今後その執行と紛争解決制度の運用が注目される。