無形資産の市場評価

執筆者 滝澤 美帆 (東洋大学)/外木 好美 (立正大学)/宮川 努 (ファカルティフェロー)
発行日/NO. 2017年3月  17-J-025
研究プロジェクト 無形資産投資と生産性 -公的部門を含む各種投資との連関性及び投資配分の検討-
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概要

本稿は、本邦企業レベルの研究開発(R&D)投資データから計測したR&D資本ストックの対有形資産ストック比率(R&D資本比率)と本邦上場企業の月次株価データを用いて、無形資産(R&D資本)の蓄積度合いと株価リターンの超過収益率(α)およびリスク(β)との関係を実証的に分析したものである。マーケットモデルを用いた推定結果から、個別企業のR&D資本比率の高低が当該企業の株価リターンに関する超過収益率と正の相関を有することが確認された。この結果は、近視眼的な投資家が、企業の無形資産投資から生じる将来のベネフィットを軽視する結果、無形資産投資を積極的に行っている企業を現時点で過小評価する傾向にあることを示唆している。