「エビデンスに基づく政策形成」に関するエビデンス

執筆者 森川 正之 (理事・副所長)
発行日/NO. 2017年3月  17-P-008
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概要

本稿は、日本における「エビデンスに基づく政策形成(EBP)」の現状に関するいくつかのエビデンスを提示し、EBPの実現に向けた課題について考察するものである。要点は以下の通りである。第1に、総じてEBPの必要性への認識は極めて高いが、政策実務者自身EBPがあまり実行されていないと認識しており、政策研究者や国民一般はより厳しい見方をしている。第2に、EBPの障害としては、統計データの解析や学術論文を理解するスキルが欠けていること、エビデンスと無関係に政策決定が行われること、政策現場にEBPの慣行・組織風土が乏しいことが指摘されている。第3に、国民一般のEBPへの理解度はあまり高くないが、高学歴者、特に理科系出身者は、EBPの必要性への意識が高い。第4に、定量的に見て、日本政府の白書における学術研究に基づくエビデンスの活用度は、国際標準に比べて十分とは言えない。