日本語タイトル:輸出企業は外生的ショックにどのように対応するのか:日本の企業レベルデータを用いた分析

How Do Exporters Respond to Exogenous Shocks: Evidence from Japanese firm-level data

執筆者 田中 鮎夢 (リサーチアソシエイト)/伊藤 萬里 (リサーチアソシエイト)/若杉 隆平 (ファカルティフェロー)
発行日/NO. 2017年3月  17-E-027
研究プロジェクト 中国市場と貿易政策に関する実証的研究
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概要

本研究の目的は、日本の最大の輸出相手国であった中国との間での政治的なショックが日本企業へ与えた影響を企業レベルで明らかにすることである。中国政府の予期せぬ突然の政策変更が、日本経済・日本企業に及ぼす影響は、チャイナ・リスクなどとして盛んに報道されてきたが、企業レベルデータによって、その影響を検証した研究は、これまで十分ではなかった。本研究は、『企業活動基本調査』から構築した2011〜2013年のパネルデータを用いて、差の差推定法により、外国市場の外生的ショックが日本企業へどのような影響を及ぼしたのか明らかにする。分析の結果、中国における日本製品の不買運動が2012年に起こった後、日本企業は中国への輸出を大きく減らしたことがわかった。特にその傾向は、企業内輸出よりも企業外輸出において顕著であった。また、差の差推定の結果から、中国に輸出していた日本企業は、非正規労働者を削減することによって、外生的な貿易ショックに対応したことが明らかになった。このことは、国際関係の悪化に伴う貿易ショックが、職が不安定な労働者により大きな影響を与えたことを示唆している。

概要(英語)

This study investigates how exporters respond to an exogenous shock, using the 2012 customer boycott of Japanese products in China that occurred after a political conflict over the islands in the East China Sea. By using Japanese firm-level data for 2011-2013 and employing the difference-in-differences method, we conduct an assessment of the boycott. We find that Japanese firms faced a large decrease in exports to China after the 2012 boycott and that the decrease in exports was more pronounced for arm's length exports than intra-firm exports. In addition, the estimation results provide evidence that Japanese firms exporting to China responded to the exogenous trade shock by reducing their number of temporary workers. This finding suggests that trade shocks due to international conflicts hit the most insecure workers.