サービス産業と政策の百年:概観

執筆者 森川 正之 (理事・副所長)
発行日/NO. 2017年2月  17-P-003
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概要

本稿は、1920年前後から戦時経済、終戦、高度成長期を経て今日に至るまでのサービス産業の動向とサービス産業を対象とした政策について概観する。20世紀初頭からの産業構造変化を回顧すると、日本のサービス経済化は、(1)戦時経済下の不連続を挟みつつ、工業化の進展と並行してサービス産業のシェアも拡大した1920年頃~1970年代初めの期間、(2)製造業のGDPシェアがピークアウトし、サービス産業のシェア拡大が加速した1970年代~1990年頃、(3)「失われた二十年」に入り、IT革命、グローバル化、規制緩和等を背景にサービス産業の中での構造変化が顕著になった1990年代以降の3つの局面に分けられる。日本のサービス経済化はおおむね国際標準に沿ったパターンで進んだ。サービス産業は産業政策の対象としての重要性が低かったが、本格的なサービス経済の時代に入り、政策対象としての関心も高まっている。サービス経済化は、都市化、女性就労の拡大といった社会構造の変化とも深く関連してきた。