国際経済関係におけるグローバルガバナンス問題の新しい視角

執筆者 間宮 勇 (ファカルティフェロー)/米谷 三以 (コンサルティングフェロー)
発行日/NO. 2016年10月  16-J-056
研究プロジェクト 国際経済法を巡るグローバルガバナンスの構造分析-政策間対立、ソフトロー及び非政府主体の相関関係の研究
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概要

本稿は、WTO協定および投資協定一般に加え、国際環境法、国際租税等の国際的枠組みの検討を踏まえ、今後のグローバルガバナンス体制を構想するための基礎理論の提示を試みる。まず現状認識として、国際通商等の国際的枠組みが独自に発展し、相互に矛盾対立の可能性が懸念されていること、また国内法制度との整合性に疑問が生じ、統合の必要性が高くなっていること、また法的拘束力のないソフト・ローの多用、またルールの形成・運用における非政府主体の役割の増大、自由貿易協定の流行という現象を指摘する。かかる現状を分析する既存の枠組みはいずれも国際的枠組みが目的として掲げる貿易自由化、投資保護、環境保護等が対立関係にあることを前提としている。しかし、それらの政策目的が統合可能であることを前提とした枠組みに立つと、個々の国際ルールの解釈論、ソフト・ローが多用される意義などについて異なった理解が導かれることがわかる。